ここ数年、全く接触の無かった知人から、突然、結婚式の案内が来た。
その文面を見ると、結婚相手は聖職者のようだが、どうも新興宗教らしい。
式に立ち会ってくれと書いてあるが、場所もその教会となっている。
彼女の素直さは認めるが、何かと信じやすい性質で、またそれを自分だけではなく他人にも勧める。
誰に忠告されようと耳を貸さず、その時は一途に信じて疑わない。
私も、以前、健康飲料を勧められたり、なにやら怪しげなカウンセラーを紹介しようと接触してきたりしたが、相手にもしたくなかったので上手くかわした。
それ以来、彼女とは接触が無かったのだが、突然の結婚式の案内なので、当然警戒する。
そうこうするうちに、友人にも届いたという。
その友人は、私を通してしか彼女を知らないし、ほとんど接触も無かったのだ。
誰彼かまわず、ダイレクトメールのように送っているとしか考えられない。
これも、一種の布教活動なのだろう。
40歳を過ぎての初婚なのだから、もっと自分の結婚式を大事にしろといいたいのだが、自分がその“教会との架け橋になって、皆様に幸福を”と思っているのだから困ったものだ。
彼女は、ずっと親の庇護の元に育ってきて、自分の殻を破れず、壁にぶつかると他のせいにして自分を納得させ、結局逃げる。
でも、その不安から、自分を持ち上げチヤホヤしてくれる方へと流されるのだ。
それは、ただ個人的なことではなく“彼女の使命”といったような自尊心をくすぐる味付けがなされているのだろう。
だから、彼女は何の疑いもなく人に勧めるのだ。
他人の結婚や宗教にとやかくいうほど親しくもないのだから、彼女がそれで幸せと思うのならそれでよいが、幸せのお裾分けなど迷惑だし、何より私と彼女の幸せの質も形も違うのだから、巻き込まないで欲しい。
一応、『お祝いくらいは贈らないと』と思っていたが、結局、友人と二人で結婚案内は無視する事にした。

「冬のソナタ」以来韓流ブームとやらで、かの国の男性と結婚する30〜40代の女性が多いという話を聞いた。
中には離婚する人も多いという。
結婚しようが離婚しようが、風俗習慣の違いや考え方のギャップで苦しもうが、それはどこの国にもあることで、それぞれ本人の選択なのだから、とやかく言うつもりはない。
しかし、中には新興宗教がらみのこともあるようだ。
近所の娘さんが、実は某宗教の合同結婚式で結婚して、その国で一緒に暮らしているということが、洩れ伝わってきた。
いろいろな問題で騒がれた宗教なので、当然ご家族は大反対だったらしい。
息子さんたちの結婚の時は、就職してすでに独立し同居するわけでもないのに、お母さんが息子さんを連れて隣近所に挨拶に回るほど律儀なご家族なのだが、娘さんのことは全く話さないので、勘当したのかもしれないし、こちらも娘さんのことは話題にもしない。
勘当しても縁が切れるわけではないので、お母さんが一番辛いだろう。
30〜40代の過保護に育った娘たちは、親が歳をとって弱ってくると、急に将来に不安を感じ出し新興宗教のターゲットにされるという話も耳に入ってくる。
本人の心が救われるというのならそれはそれでよいが、人を騙したり反社会的な行為の伴なったりするものは、多くの人を傷つけるだけでなく生を狂わせる。
そのところを、逃げないでしっかり理解して欲しいと思うばかりだ。

それにしても、某宗教は巧妙だった。
十数年前、当時、区の社会教育指導員に元校長の女性がいて、その人が、知人から「世界○○…」という団体主催の会で、教育についての講演を依頼された。
私たちは、その先生から『世の中には奇特な人たちがいて、私のようなものの講演に高いお金を出すのですよ』(先生は全くのボランティアで講師料もない)と聞かされていたが、当初、それは教育活動などに使われる寄付くらいにしか思わず、深く考えもせずにいた。
その後しばらくして、TVの取材番組で、その団体が某宗教の隠れ蓑の集金団体である事を知って大変驚いた。
元校長は、当時では数少ない女性校長であり、男尊女卑の校長会にあってもその実力を認められた人であった。
決して女傑タイプではなく、七尾の遊郭の近くで育ったため、小学校を卒業すると遊郭へ売られていく級友たちの境遇を見て教育への道を選んだ人らしく、芯の強い弱者に優しい人だったから、逆に上手く利用されたのだろう。
また、その後、今度は区の職員から連絡があって、その団体の主催する講演会に区の後援依頼が、直接区長に届いたという。
すでに、隣区の区長は後援を出しているので、そんなに変な団体ではないと思うが、一応どのような団体か調べているが、調べても実態がよくわからないので知らないかと聞いてきたのだ。
そこで、すぐ番組を放送していたTV局を教え、詳しい事を聞くように伝えた。
後日、職員から電話があり、詳しい実態がわかり、区長もすんでのところで後援を出さなくてよかったということだった。
一時は、区内のガールスカウト団体の責任者にも信者がいて、そういった伝を利用して行政に食い込もうとしていた。
前述の先生も、行政や教育行政などへ食い込むために利用しようと思ったのかもしれない。
○○教会といえば誰でも気がつくが、教育と平和などを標榜する女性団体を装って、行政
の後援をもらい公共施設を使ってお金儲けをするなど、実に巧妙だ。

昔から渋谷や新宿など、わけのわからない宗教の勧誘員が道行く人たちに声をかける。
友人は、後ろから声をかけられても絶対ふり返ってはいけないという。
声をかけるのは下っ端の信者たちで、ふり返ったら話を聞く気があるとみなされ、その上の者が出てきて説得にかかるという。
40数年前の渋谷でも、○○教会は○○教と名乗っていて、若い子たちが安物の花束を売っていた。
その中で、いつも見かけたリーダーらしき女の子の長いポニーテールと、思いつめたような、自分のことで精一杯で他には余裕がないというような切れ長のきつい目を思い出す。
それは異様な雰囲気で、人はあまり近づかないから売れているようにも見えなかった。

結婚して子どもが生まれた頃、近所にお茶を行商する女性の異様な集団が現れた。
やはり、思いつめたような余裕のない顔をしてお茶お売りに来るが、誰も買わなかったのだろう。
当時、我が家は敷地の奥に駐車場があって、人にも貸していたので通路に門扉がなかった。
それを路地と間違えたらしくその集団が入ってきて、我が家の窓の外で円陣を組んでお祈りを始めた。
敷地内だから出て行ってくれと声をかけたかったのだが、「……のお父様、……のお父様」などと唱えていて、とても不気味で声もかけられなかった。
その後もやってくる珍味売りや手相見など、すべて同じ某宗教だ。
またある時、障害者のための活動をしているという○○会というのがやってきて、安物のスカーフを高く売りつけるのだが、まさか宗教団体とは思わず寄付のつもりで買った。
後年、それも某宗教の隠れ蓑だと知った。
当時、私が障害者関係のボランティアをしていた事を何かの名簿で知っていて、やって来たのだろうか。

選挙が近づくと作り笑いを顔に張り付かせて、当然のように我が家のブロック塀にポスターを貼らせてくれと頼みに来る集団がある。
地方で議員をしている姪のつれあいが、選挙関係でその党に世話になっているからとの紹介もあって、無碍に断れない事情もあるので余計にストレスとなる。
作り笑顔で下手に出ながら図々しく、有無を言わせないような不気味さがある。

本当に新興宗教は嫌いだが、かといって既成宗教がすべてよいとも思っていない。
我が家の菩提寺の住職の人間性や檀家に対するやり方には、やはり不信を持っている。



先月下旬から、北京五輪の聖火リレー騒動、胡錦濤首席の来日とパンダの貸与など、中国の話題でメディアはにぎわったが、今度は、四川省での大規模地震が起きた。
被災地では、未だに瓦礫の下に閉じ込められている多数の被災者がいるが、救出はなかなか進まず、その死者行方不明者の数はどんどん増えていく。
学校や病院などの公共施設が潰れ、子や友人、同僚の名を必死で呼んでいる人たちや、未だ救出されず瓦礫の下にいる母を思って泣き叫んでいる女性など、TV画面で見るだけでも、とても痛ましい。
すでに、救助打ち切りとなった地域もあり、あきらめ切れない親たちが、子どもたちの姿を求めて、警官に追われても、警官の姿が見えなくなると集まっては学校の瓦礫を取り除いているという。
そこにわが子がいるのに、助け出してやれない親の心情はいかばかりかと思う。
東京も、近い将来に大規模地震の不安があるので、決して人事ではない。

今まで、義捐金や物資の支援は受けるが、外国の救援隊などの人的支援は断っていた中国も、あまりの悲惨な現状にやっと自分たちだけでは無理と気がついたのか、国際的な批判をかわすためか、日本との関係を慮ってなのかはわからないが、やっと要請があって、消防庁のハイパーレスキューなどを含む災害救助のエキスパートからなる国際緊急援助隊が中国へ入った。
しかし、なぜか本来の救助より、昼夜歩き詰めでの長距離の移動の方が多く、中国側に振り回されているように思われる。
そんな中、ロシアの救助隊が生存者を救出したというニュースが伝わってくると、ロシア(中国共産党の生みの親であり、かつての宗主国)に花を持たせるために、日本は生存者の見込みのないところをあちこち移動させられているのではないかと勘繰りたくなる。
中国は「ナショナリズム」を一枚看板にして国民を洗脳し、またこの大地震も、当初それで乗り切ろうとしたが、そんなことだけで大災害を乗り切ることはできない。

ナショナリズム研究で知られるベネディクト・アンダーソン(アメリカの政治学者)は、著書の「想像の共同体」でナショナリズムについて“自然の愛郷心ではなく、巧妙に作られたもの”で、政治などに利用されやすいので警戒しなければいけないとしている。
聖火リレーのフランスでの騒動を口実に、中国国内でのフランスのスーパー「カルフール」へ不買運動や抗議デモ、大型トラックによる入口の封鎖などが各地で起きた。
しかし、自然発生のデモにしては、すでに立派な横断幕が出来ていたことや、大型トラックを複数台も用意するなど、裏での政府の関与が囁かれている。
また、そのデモに毛沢東の肖像をかかげている者もいて、本当にあきれるばかりだ。

十数年前、ユン・チアン氏(イギリス在住)の満州生まれの祖母、母と、四川省生まれの彼女自身の女三代にわたる自伝的小説「ワイルド・スワン」を読み、共産党の内幕や文化大革命の愚行、毛沢東の権力欲と残酷さ、共産主義の中の出身による階級と差別、党幹部とその家族の特権や不正、農民の悲惨な状況などを知った。
毛沢東は、自らの野望のために中国を恐怖で支配し、その27年の間に、平時において7,000万人をはるかに超える自国民を殺したのである。
また、膨大な資料と多くの証言からなる彼女の渾身の著書「マオ 誰も知らなかった毛沢東」によると、それは、農民に対する食糧の搾取と、さらに大規模で巧妙な食糧の搾取による大量の餓死(食糧増産計画=各地の責任者を競わせて膨大な水増し生産目標を掲げさせ、それによって国が拠出量を決めて、農民から暴力的に搾取する。その穀物によって出来るアルコール燃料で原子力計画を実行。一回のミサイルテストで100万〜200万人の年間食糧摂取量を消費)、批判者の処刑(百花斉放の罠=自由にものを言わせて、それを根拠に逮捕・監禁・拷問・処刑)、知識人への弾圧粛清、そして極めつけは文化大革命による大粛清と文化の破壊である。
この著作を読んでいると、毛沢東は、まるで中国の歴史書に出てくる悪逆非道の皇帝、例えば殷の肘王や秦の始皇帝のようであり、現代での出来事とは到底理解しがたく、そら恐ろしい。
それは、朝鮮戦争を自ら画策し、兵を大量に使い捨てることが目的の人海戦術を取って、自国民を300万人(前述の7,000万人には入っていない)から戦死させたり、農民を生きていけないほど搾取したり、大規模な土木工事をお金も機材もかけずに人海戦術で行うため、多くの農民を狩り出して、しかも手弁当、工具と寝るところも自前で行わせる。
知識人の粛清や文物の破壊や、諫言するものは容赦なく殺す、他民族に対する残虐極まりない行為など、人の死には無頓着だが自分の健康や長寿には気を遣うなど、多くの点で類似している。

前述のベネディクト・アンダーソンは“中国では、毛沢東がスターリンと皇帝の業績を手本として、大胆にも清帝国の基盤の上に社会主義を形成しようとした。しかも毛沢東は、新しい多民族、多宗教、多言語の広大な地域に対して、ナショナリズムという寸足らずで薄っぺらな皮を、無理やり引っ張ってかぶせようとしたが、それは無謀な試みであった。”と述べている。
これらの事実を知らないのは、もしかしたら一番被害を蒙った中国の国民であろう。
毛沢東の最大の守護者で恐怖政治の支援者でもあったスターリンは、死後、フルシチョフのスターリン批判によって世界に自身の恐怖政治が暴露された。
毛沢東は1976年に亡くなり、それ以後、西側へ出た人たちからの様々な書物によって、少しずつ真実は表に出されてはきたが、30年を過ぎても、為政者によって毛沢東の真実が明るみに出されることはない。
未だに若者たちは、毛沢東のプロパガンダを信じてチベットを中国の一部と見ているし、チベットの民を奴隷から解放したなどと信じている。

今回の四川大地震で、400近いダムに崩壊の危険があるという。
そのダムを作ったのは、貧しい多くの農民たちが、食べる物も無く、ろくな工具も無い中で、汗と涙で作ったダムではなかったのか。